記録
2024/05/26

令和5年12月議会振り返り

12/22に令和5年12月第5回小松市議会定例会を終えました。
大分時間が経ってしまいましたが、定例会での質問と回答に対して解説を付け加え、改めて質問を振り返りをしたいと思います。

SNSによる市の活性化

質問1項目目、小松市が運営するSNSについて、市民にとって役に立つメディアとしての在り方を質問しました。

小松市のSNS運用について

質問:吉柴

現在、小松市では主にインスタグラム、フェイスブック、旧ツイッターであるXの3つのSNSが運用されており、フォロワー数でいうとインスタグラムとフェイスブックが同程度で約2,500人、2012年からスタートしているXに関しては5,030人ものフォロワーがいます。
これらSNSを見ると、投稿されている内容はフェイスブックとXはほぼ同じ内容となっていますが、SNSユーザーの特性上、毎日複数のSNSを見て回る人は少数派なので、小松市の情報を伝えるためには市内の活動内容を漏れなく複数のSNSに投稿する手法が正しいと感じます。
とはいえ、インスタグラムに限ってはどうしても写真が中心となるため、ふさわしい写真がないことには投稿をためらうという状況は分かる話ではあります。しかし、ここ数年はインスタグラムだけを利用するユーザーの比率が高く、その人たちにどのように市の活動を伝えていくか、それが課題になるかと思います。
これは運用者だけが感じる負担かもしれませんが、SNSで情報を更新していくという負担は小さくありません。個人のSNSだけではなく、小松市という看板の下に記事を投稿するわけですから、情報の正確性はもちろんのこと、情報の価値として一定水準を満たしているのかというところまで注意を払って記事投稿していることと思います。
では、これについて1つ目の質問になります。
小松市が運用するSNSについて、市の活動を正しく市民に伝えるための運用手法及びその運用が職員の負担にならないような効率的な運用ルールなど、そのベースとなる運用目的を含めてお答えください。

回答:市長公室部長 横山昭博 君

……小松市では、フェイスブックや旧ツイッターのX、インスタグラム、LINE、YouTubeといった5つの公式SNSを活用して市の様々な施策やイベント、防災情報などの広報活動を行っております。
各SNSの利用者層や特性については、総務省において2022年の調査に基づきその内容が公表されております。
その概要と小松市における運用目的につきましては、1つ目のフェイスブックは、30歳代から40歳代を中心に利用者が多く、友達や家族とのつながりが中心とした世界最大のSNSであり、小松市ではイベントのお知らせや開催の様子をはじめ、市民に役立つ情報、市のPRにつながる情報を配信しております。
2つ目のXは、10歳代から30歳代の利用者が多く、短いテキストによるリアルタイムな情報を共有するSNSであり、市では公式フェイスブックと同様の情報を配信しております。
3つ目のインスタグラムは、同じく10歳代から30歳代の利用者が多く、視覚的なコンテンツに焦点を当てたプラットフォームでありまして、市ではこまバズを含め、市内の観光スポットやお薦め情報のほか、市の魅力発信につながる写真や動画を定期的に投稿しております。
4つ目のLINEは、10歳代から50歳代を中心に幅広い年齢層の利用者が多いメッセージングアプリでありまして、災害発生や防災情報、市政情報などを多くの皆様に広くお知らせし、暮らしの利便性や市民防災力の向上を図る情報を配信しております。
5つ目のYouTubeは、同じく10歳代から50歳代を中心に幅広い年齢層の利用者が多い動画共有アプリであり、市政情報や観光、イベント、市民活動の情報などを定期的に配信しております。
次に、これに関連しまして各SNSの優先順位と運用の負担についての御質問がありました。
SNSごとに特性が異なることから優先順位は定めておりませんが、それぞれの優位性を生かした効果的な情報発信に努めているところでございます。
同時投稿ツールの活用につきましては、発信者側の業務の効率化や省力化につながるメリットがあることから、現在、小松市ホームページ更新時にフェイスブックとXに同時投稿できるシステムを既に導入しているところでございます。
しかしながら、SNSによって文字数の制限があることや、視覚的な面を重視するなど特性が異なること、また同時投稿の場合は特性に応じた投稿が難しいため、SNSごとに個別投稿した場合と比べてクリック数やいいねの数などのリアクションは低くなっている状況にあります。
こうした現状を踏まえ、受け手側に伝わる情報発信を行う観点から、現段階では全てのSNSへ同時投稿するということまでは考えてはおりません。
一方で、本年4月に運用開始いたしましたこまつ防災アプリでは、市民の安全に関わる重要な防災情報につきまして、フェイスブックやX、LINEに同時配信を行っておりまして、速やかな情報発信と業務の効率化を図ったところでございます。

SNSを使うことの効果と負担のバランス

SNSの運用って意外と難しいもので、職員の負担も小さくはないでしょう。
何より、その負担にかなった結果が出ているのか、結果を出すための工夫を継続して出し続けられるのか、という点が重要です。
質の高い発信の継続は難しく、だからといって小松市として出す情報なら相応のクオリティは要求されるでしょう。
効率よくかつ質を落とさずをどのように実現するか、しつこいぐらいに思案し続けることの必要性を感じました。

公式LINEの有効活用

質問:吉柴

現在、小松公式LINEでは全国の自治体と同じように、月額固定費無料、一斉メッセージ送信数上限なしの「地方公共団体プラン」を利用しており、有料オプション費用はあるものの、少額な費用で公式LINEを運用しています。
これを少額と表現したのは、公式LINEというのは一般アカウントの利用の場合、一斉メッセージ送信数に応じてかかる費用が変動するからです。
今日、小松公式LINEのフォロワーは約31500人おり、仮に一般アカウントがその全員に一斉メッセージを送った場合、1通目で約2万円、2通目から約9万円ほどかかります。
翌月にはまた1通目の金額にリセットされますが、もし企業が商品宣伝のLINEメッセージを送ろうとする場合、月に数十万円の予算を準備する必要があるわけです。
それが少額費用で済んでいるわけですから、小松市はとても安価で強力な広報ツールを所有していると考えられ、これをどれだけ効果的に扱えるかが、今後の小松市の活性化に大きく関わってくるだろうと思います。
とはいえ、無料だからと1日に何十通もメッセージを送れば、広報として逆効果になることもありえるので、メッセージの内容や配信のタイミングに苦心しているのではないでしょうか。
今年の4月から公式LINEのリニューアルが行われ、防災情報のほか、広報こまつや市主催の大規模イベントに関する情報のメッセージが配信されるようになりました。
それに伴い、受信設定機能が追加され、欲しい情報に合わせたジャンルを設定できるようになっています。

現在、このジャンルは
市政情報
感染症・健康情報
クマ出没情報
防災士、市民救護員へのお知らせ
消費生活情報
消防本部からのお知らせ
と以上の6つがありますが、この6つのジャンルだけで、利用者が希望するような欲しい情報の分類ができているか?というと疑問が生じます。

福岡県の福岡市が運用する公式LINEにおいても、小松市同様にジャンルを選択してメッセージを受信する設定がありますが、福岡市では見出しとなる親ジャンルの下に選択項目となる子ジャンルを置くという、親子型の構造にしています。
例えば、市政情報という親ジャンルの中には、職員募集や職業訓練に関する情報を扱う「しごと」という子ジャンルや、イベント情報を扱う「催し」という子ジャンルなど、10種類のジャンルに分かれていることで、受け取る情報を自由に選択できるようになっています。

私としては、この福岡市の件は参考程度で、ここまで複雑化する必要はないと思いますが、あえて今の6つのジャンルに追加するなら「防犯・交通安全」というジャンルが必要ではないかと思います。
何故かと言いますと、先月11月9日に地元の校下で中学生が不審者に車で付きまとわれるという問題が起こり、警察に連絡を入れたとのことでした。
このような情報は近隣住民で共有し、防犯意識を高めるべきではないかと思い、その発信方法がないかお聞きしたところ、小松警察署との連携はすでのされており、警察からの要請によって公式LINEでメッセージを配信しているとのことでした。
先の不審者の件については条件が揃わなかったために要請がなく、配信に至らなかったようですが、こうした市内の不審者情報や交通事故に関するお知らせを共有することで、市民の防犯や交通安全意識を高めるきっかけになるのではないかと考え、ジャンルの一つとしての必要性を感じています。

また、「アンケート」というジャンルを作ることで、デジタルを通じ、多くの市民の声を集めることができるのではないでしょうか。
これに限らず、メッセージとして受けとりたい情報は人によって違うでしょうし、その需要や時代に応じ、ジャンルを追加、変更していくことが求められるでしょう。

ここで質問になりますが、現在の受信設定機能におけるジャンルのあり方、その追加や変更について、そしてこれによって増えるメッセージ数で情報が追いにくくならないような工夫があれば、それも含めてお考えをお聞かせください。

回答:市長公室部長 横山昭博 君

……現在、小松市では、御案内がありましたように市政情報をはじめ、感染症・健康情報、消費せいかつ情報、クマ出没情報、消防本部からのお知らせ、防災士、しみん救護員へのお知らせの6つのジャンルを設定しておりまして、利用者には配信を希望するジャンルを選択していただいております。
 このうち市政情報につきましては、本年4月より追加をしておりますが、これまでも広報こまつをはじめ、選挙や全市を挙げて市が主催する行事などの重要な情報を配信しています。今年度はKomatsu九(ナイン)のオープニングイベントやプレミアム付商品券の発行、また北陸新幹線小松開業に関する様々なお知らせなども配信してきました。
 今後も来年3月の北陸新幹線小松開業に向けて、サンリオのライブショーや東京タワーのライトアップ、開業イベントをはじめ市の施策など広く市民の生活に欠かせない市政情報を積極的に配信していきたいと考えております。
 一方で、LINEにつきましては、プッシュ型の通知となりますので、重要な情報が埋もれないように、そういった配慮も必要かなと思っております。
 御提案いただきましたジャンルの細分化などの変更につきましては、こうした点も踏まえながら、また利用者の再登録も必要になるということもございますので、これから慎重に判断をしていきたいというふうに思っております。

公式LINEの有効な使い方

質問内で提示したとおり、現在の設定では受信カテゴリが大まかすぎて、ユーザーが希望した情報が得られない仕組みになっています。
その結果、公式LINEから送られてくるターゲットがずれたメッセージを嫌い、フォローを外される形になります。
それに配慮した配信側は、メッセージの送信数を減らすことで情報配信メディアとしての役割が果たせなくなるという悪循環です。
それを解消するためのカテゴリ分けなのですから、できる限り早く導入して欲しいです…が、2024年5月現在、変化はありません。

市民生活向上のためのオープンデータ

質問2項目目は様々なデータの活用によって、町内会から校下の協会の活動など、身近な生活に役立てられないかというところから生まれた質問と要望をまとめました。

課題解決に役立てるデータ活用

質問:吉柴

オープンデータとは、誰でも許可されたルールの範囲内で、自由に複製、加工や頒布などができるデータをいい、商用としても利用可能なデータになります。
 小松市でも公共施設や指定緊急避難場所などデータを公開しており、その中身は所在地の名称や住所、緯度、経度まであり、このデータと地図アプリを連携することで、独自に災害時の専用避難マップを作成することができます。
 このようなデータ活用方法は一般的ですが、防災に特化しているものの、そのほかにもたくさんある地域が抱える課題を解決できるデータであるかというと、そうではないと考えます。
 ここに宮城県都城市の例を挙げますが、この自治体では蓄積している膨大なデータを地域に活用してもらうため、抽出、分析を行い、活用できる形でオープンデータとして公開しています。どのようなデータがあるかというと、高齢者の情報を抽出し、同居家族がいるかいないか、自動車を所有しているかしていないか、給与所得があるかないかという絞り込み条件を付与することで、要介護支援のリスクがある人口を割り出し、高齢者ニーズが把握できるようなデータとなっています。
 このようなデータの絞り込みは、地域課題を持つエリアの割り出しにも役に立ちます。自動車を所有していない高齢者が多数いながらも近隣に商店のないエリアを割り出すことで、移動スーパーや買物バスの必要性をその地域に説明することができると思います。ほかにも、昼間人口と夜間人口の差が激しく高齢者が多数在住のエリアについては、朝夕に同居者がいるものの不在となる時間帯に災害があったときには家族の助けが得られない可能性が高く、その状況を想定した防災対策を準備しておく必要があるなど、データを根拠にした施策づくり、そのためのデータ構築がこの先不可欠になってきます。
 ただし、こうしたデータの構築には個人が特定されないことはもちろん、データを悪用されないために閲覧できる人を制限するといったルールづくりが必要になります。
 このように、オープンデータを活用するためには数多くの困難が予想されます。しかし、さきの課題解決だけに限らず、市民や企業に対しデータ提供することで地域活性化を促すこともできると思います。例を挙げると、キャッシュレス決済の利用率とユーザーが利用する決済サービスの種類をデータにし分析することで、飲食店では決済サービスが限定できて契約費用の削減に役立てることができるでしょう。例を挙げればPayPayだったり、ほかにもいろいろクレカもそうなんですけれども、小松市ではこの決済サービスがよく使われているんであればそれに限定して、ほかの手数料というか契約料を減らしましょうということができるんじゃないかと、自分の予測なんですけれども考えております。
 また、年齢別人口データの活用分析により、高齢者の多いエリアをつなぐことで新規の路線バスルートを検討したり、子育て世代が目立つ地域を割り出すことで小児科や学習塾など開設されるきっかけづくりにつなげられると思います。このほか、企業誘致や雇用機会の拡大、福祉の充実からインフラの効率化まで、地域活性化に役立つオープンデータの提供は全国の自治体で行われるようになってきました。
 では、ここで最後の質問になります。
 地域の課題解決または地域活性化を目的としたデータの活用について、小松市はどのような考えを持っているのか。そして、小松市の未来を見据えてどのように対応していくのかをお聞かせください。

回答:市長 宮橋勝栄 君

……市では、保有する統計データ(人口統計、教育、保健・福祉、環境、観光、災害対策など)を適時公表はしております。それとは別に、誰もが自由に利用できるオープンデータ群として、国推奨の自治体標準オープンデータセット14項目をホームページで公開をしております。
 また、オープンデータではございませんが、データの施策への活用事例を挙げますと、先ほども御紹介させていただきましたが包括連携協定を締結したオムロン株式会社の協力を得まして、オムロンの知見を基に高齢者の行動データや高齢者が抱える生活課題をきめ細やかに蓄積、分析することで、介護を必要とする一人一人のニーズに適した自立支援のケアプラン(介護サービス計画)づくりに役立てております。現在、全10か所の高齢者総合相談センターできめ細やかなケアプランづくりが展開されており、介護サービスの質向上につながっております。
 また、観光面においてもデータ活用によるEBPMの動きが進んでおります。いわゆるエビデンスに基づく政策立案であります。
 昨年12月には、検索や位置情報などのビッグデータを分析するツールであるDS.INSIGHTを導入いたしました。ヤフーの検索データを基に来訪者の関心や行動を分析し、お旅まつりの集客見込みやKomatsu九(ナイン)開業時のニーズ把握などに役立ててまいりました。
 また、今年10月3日に石川県が公開した観光データ分析プラットフォームMilliは、県や市町に加え民間の観光施設が保有する観光情報も集約することを目指しており、広域な観光データとして利活用するための検討が進んでおります。
 11月28日にはKomatsu九(ナイン)で開催された県主催のいしかわ観光データ会議in小松におきまして、私も参加させていただきましたが、その場に西垣副知事も御参加をいただきまして、県や加賀地域における観光データの活用について関係者と意見交換をしております。
 この観光データ分析プラットフォームMilliは観光に特化したものでありますが、その他各種データの連携基盤を石川県オープンデータカタログとして県が今年度に整備する予定であります。この整備によりまして、県、市町、民間のオープンデータが一元的に公開され、誰でもアクセスして利用できる仕組みが構築されます。
 ただし、個人データを匿名化、統計化する形でオープンデータとする場合においても、個人情報のセキュリティやプライバシーへの配慮など、一定のルールづくりや利用規約の策定が必要と考えております。
 現在、県では、学識経験者、法律専門家及び市町を構成員に、データガバナンスに向けた運営組織を立ち上げ、国のガイドラインや住民等の利用者意見を踏まえ、データ活用の客観性、妥当性を確保する仕組みとルールづくりを行っていくこととしております。
 行政が保有するデータを公開可能な形で市民や企業に開放することは、地域活性化の観点からも有効と考えております。
 災害時の情報共有、地域企業のマーケティング活用など、様々な活用の動きが広がれば、新たなビジネスチャンスや社会課題の解決に役立てられる可能性があります。
 データの有効活用とその先にある地域の活性化を目指すため、オープンデータ化の推進に向けては、県とともに積極的に取り組んでまいります。
 そして、行政の政策立案においても、EBPMの実践事例を増やし、効果的なまちづくりを進めてまいりたいと考えております。

統計だけでなく、次のデータ活用に向けて

個人情報の取り扱いに配慮することでデータは具体性を失ってしまい、やれることの幅が狭まってしまいます。
このような時に、このような情報があれば、こう動けるのに、という形で具体的な場面を想定したデータの取得方法が必要であり、それに向けた取り扱い制限の緩和も必要になります。
その具体案を専門的な知識をもって提案できる専門家を小松市行政に迎え入れることができないか、と感じるばかりです。

まとめ

2024年の5月にこの振り返り記事を書いています。
約半年前に行った質問ですが、かなり以前の事のように感じます。
この数か月間で様々なことが起こり、新たな課題が生まれ、それに対応するための体制が必要になると考えています。
その中の一つであるデジタル人材の確保については、TVなどで言われている以上に急務であるとされており、本議会で質問したような内容について庁内で発展させていくアイデアとスピード感が必要だと感じます。
そんな人材を得るための育成教育が市内全域に波及するような施策が行われるように、私からも小松市に対して質問を行っていきたいと考えています。